チャイの味わいにどっしりとした「深みと輪郭」を与えてくれるのが「クローブ」です。
今回は、甘さの中にピリッとした刺激を秘めた、大人のためのスパイス「クローブ」の魅力をご紹介します。
釘(くぎ)のような形をした、花のつぼみ

黒褐色で、まるで小さな釘のような独特の形をしているクローブ。
実はこれ、フトモモ科の樹木の花の「つぼみ」を乾燥させたものなのです。
英語のクローブ(Clove)も、フランス語で釘を意味する「Clou(クルー)」が語源だと言われています。
バニラにも似た濃厚で甘い香りの奥に、舌がわずかに痺れるようなシャープな刺激が同居する、非常に個性の強いスパイスです。
ヒンディー語で「ローング(Laung)」。身体を温める一杯
ヒンディー語で、クローブは「ローング(लौंग)」と呼ばれます。
インドの冬は、皆さんが想像するよりもずっと冷え込みます。私が滞在していたグルガオンでも、底冷えするような朝には、街のチャイスタンドでこの「ローング」をいつもより少し多めに効かせたチャイが好んで飲まれていました。
スパイスを叩き潰す乾いた音を聞きながら、湯気の立つ熱々のチャイをすすると、身体の芯からじわじわと熱が巡っていくのを感じたものです。
ほんの1〜2粒。その「引き算」が味を決める
クローブは非常に香りが強いため、使いすぎには少し注意が必要です。
1杯のチャイに対して、ホール(丸ごと)のクローブを1〜2粒。指先で軽く折るか、すり鉢で軽く叩いてから小鍋に加えるだけで十分です。
主張しすぎない絶妙な量を守ることで、ミルクの甘みが引き立ち、お店で飲むような本格的で立体的な味わいに仕上がります。
冷えを遠ざけ、身体を守る心強い効能
アーユルヴェーダ(インド伝統医学)でも重宝されてきたクローブは、身体を温め、血行を促進する効果に優れているとされています。
冬の寒さ対策としてはもちろん、夏の冷房で冷え切ってしまった身体を優しくリセットしたい時にも、非常に心強い味方になってくれます。
まとめ:いつものチャイに、小さなスパイスの魔法を
甘いだけじゃない、ほんの少しの刺激が日常に心地よいスパイスを与えてくれる。
今度の週末は、いつもの茶葉にクローブを1粒だけ落として、じっくりと煮出してみませんか。

